2015年スイス時計総輸出結果

下半期の大幅な悪化と年間成長率の低下

2015年、スイス時計産業は、いっそう複雑で困難な状況に直面し、2009年以来初のマイナス成長を記録しました。時計の総輸出額は215億スイスフランで、2014年と比較して3.3%の減少が見られました。その結果、年間利益率は、2年連続の増加を経て実質的に2012年の水準に戻りました。特に、香港市場の動向は、全体的な事業運営を著しく圧迫した大きな要因の一つとなりました。

2015年を通して、時計の輸出状況は徐々に悪化し、第1四半期には+3.2%だったのが、第4四半期には-7.3%に落ち込みました。上半期にはかろうじてポジティブな結果(+0.5%)を保ったものの、下半期には、輸出状況に影響を及ぼす要素の大半が集中し、
2014年の水準を大幅に下回る結果となりました(-6.8%)。

スイスフラン高、香港が被った急激なリバランス、中国の景気低迷と政治的決定、中東における緊張の高まり、ルーブルの下落、テロなど、全体的な状況がきわめて不利に働き、昨年に発表された安定性の予測を実現することが不可能となりました。こうした状況は、2016年初めまでスイス時計産業の業績に影響を与え続けることが予想されます。そのうえ、2016年はむしろ不利なベース効果に直面することになります。したがって、今年の時計輸出状況は、よくても2015年と同等のレベルにとどまる予想です。しかしながら、見通しを立てるのは困難です。

腕時計の輸出総額は、時計輸出全体の約95%を占める202億スイスフランにのぼりました(2014年比で-3.6%)。数量では低下は緩やかで、-1.6%を記録しました。こうして、腕時計の輸出本数は2810万本、2013年のレベルに戻りました。つまり、2015年にスイスからの出荷本数が46万本減ったことになります。

機械式時計は、輸出が売上高の80%を占め、2.0%減を記録しました。クオーツ時計の輸出は-9.9%で、さらに低迷ぎみでした。

2015年は、主な価格帯がすべてマイナスを記録しましたが、その内訳にはばらつきがあります。200スイスフラン(輸出価格)未満の腕時計の落ち込みは-1.0%にとどまり、数量は若干の増加(+1.3%)さえ見られました。最も被害を被ったのは200~500スイスフランのカテゴリーで、8.7%の落ち込みを記録しました。その上の、500~3000 スイスフランと3000スイスフラン以上のカテゴリーは、それぞれ-4.3%と-3.1%で、ほぼ同等の結果となりました。

市場の状況は、総輸出額のちょうど半分を占めた最大の輸出先であるアジアマーケットが、大幅な減少(-9.1%)を記録しました。売上高の3分の1を占めた欧州の成長率は、2014年比で6.1%と、確実な増加を見せました。アメリカ市場の成長率は、9月に突然止まり、結局マイナスの収支(-1.9%)で年が締めくくられました。

香港へのスイス時計輸出については、特に現地で外国為替レートと消費パターンに関連する大掛かりなリバランスが実施されたこともあって、輸出額はほぼ4分の1(-22.9%)落ち込み、世界平均に大きく響くとともに、きわめて苦境の2015年となりました。アメリカ市場の成長率は、8月まで着実に勢いを増したものの、その後の大幅な減少で、通年成長率はほぼ一定(-0.8%)したものでした。中国では、昨年から回復の兆しが見られるものの、全体的にはマイナス(-4.7%)の成長率にとどまっています。欧州の主要市場は、2014年と比較して全体的に上昇を記録し、特にイタリアは勢いの衰えが見られませんでした(+6.4%)。ドイツは、年度末にやや衰えが見られたものの、通年では黒字の成長率(+0.7)を記録しました。フランス市場はとりわけダイナミックな成長率(+9.4%)を記録しましたが、11月と12月は、テロ事件が原因で減少を見せ、これが恐らく欧州近隣諸国に影響を与える結果となりました。イギリスは、年間を通じて着実に勢いを増し、最も高い成長率(+19.1%)を記録しました。日本は、数か月間マイナス成長(-1.9%)を記録した後安定状態が続き、結果的には若干マイナスの成長率にとどまりました。中東の主要マーケットの動向はさまざまなで、アラブ首長国連邦はマイナスの成長率(-6.7%)を記録したのに対し、サウジアラビアは11.2%の上昇を見せました。韓国は、中東呼吸器症候群(MERS) の影響で、わずかにプラスの成長率(+0.2%)となりました。

January 26, 2016