2014年スイス時計総輸出結果

金額、個数において緩やかな増加

2014年はスイス時計産業にとってさらに厳しい状況でした。ただし輸出は増加を続けています。輸出の年間トータルは222億フランであり、2013年に比べ1.9%の増加です。2013年と同レベルの成長率で、今回はより高いレベルで安定したといえるでしょう。ただし11月と12月には香港のデモと中国市場の売上減により輸出額は減少しています。

スイス時計輸出は一年を通じて概ね好調でしたが、ゆるやかに減速を続けています。2014年前半の輸出金額は3.1%増加しましたが後半は0.8%増にとどまりました。第四四半期はマイナス0.3%まで落ち込みました。ほんのわずかのマイナス成長であるとはいえ、この数ヶ月の動きはフラン高による大きな為替損益に加え、スイス時計産業にとって緊張をもたらすものとなっています。

市場環境が明らかに悪くなったため、予測は下方修正されました。2015年のスイス時計輸出は2014年より安定すると思われます。為替の動きには注意が必要で、2015年のスタート状況は全体像の予測にとって重要な指標となるでしょう。

輸出の主製品である完成ウォッチは210億フランで、輸出額の95%近くを占め、2013年より1.7%増となっています。また輸出数量も1.7%の増加となりました。数量は2860万個で、2013年より50万個ほど増えています。

増加は主に機械式時計が大きく、金額で3.4%増、数量で8.8%増でした。輸出数量の四分の一以上にあたりますが、金額では80%近くを占めています。クォーツウォッチの数量は現状維持(0.9%減)、金額ではやや減少しました(4.1%減)。

素材別では、どれも平均レベルの成長を見せています。 スチールが半分以上の数量を占め、2014年と同レベルを維持しました。その他の素材は年間を通じて数量が増え(14.7%増)、その他の金属は大きく減少しました(19.4%減)。双方の互いの増減により全体では1.7%の増加となりました。

価格別に見ると、2014年は全体として好調な成長が見られました。200フラン以下(輸出価格)のウォッチが数量増加の半分を占めています。200から500フランの価格帯では、増加率はやや下がりましたが年間を通じて成長率最大のカテゴリーです。500から3000フランの価格帯は前年のレベルを安定して維持しました。その上の価格帯は2.7%増加し(金額と数量の両方)、全体の金額増加に大きく貢献しました。

アメリカ大陸(4.5%増)は平均より成長率が高く、特に米国(6.2%増)の成長が注目されます。アジアは2.8%増加ですが国によりばらつきがあります。香港(増減なし)は2013年と同レベルでした。スイス時計の最大の輸入国である香港は2014年前半に持ち直し、後半はそのレベルを維持、年末にかけて減少傾向となりました。中国も同様ですがより振幅が大きく、最終的にはマイナス成長(3.1%減)となりました。日本は9月から勢いが落ちたものの、全体としては15.2%増というかなり好調な年でした。中東市場も大きく成長しましたが、最も成長率の大きいのは韓国(18.5%増)であり、その勢いを保ち続けました。

ヨーロッパは前半は通常に推移し、最終的に減少(1.2%減)となりました。ただし国によって動きは違います。イタリアは安定(0.5%増)、ドイツは6.4%減、フランスは6.0%減と減少しています。イギリス(2.3%増)とスペイン(9.8%増)は平均を上回る成長でしたが、ロシアは1.2%減で2013年をやや下回りました。

 

February 03, 2015