2015年上半期スイス時計輸出状況

年間予測の範囲内で安定した状態

2015年上半期のスイス時計輸出は、厳しい経済状況の中で高い水準を維持した。総輸出金額は106億スイスフランにのぼり、+0.4%の成長率で2014年とほぼ同様の結果となった。この安定した状況は、2015年度の予測に沿ったものである。しかしながら、第1四半期に3.2%の増加が確認されたものの、第2四半期には2.2%減少し、減速傾向を記録した。

細かく見てみると、これらの結果には地域による差がある。ヨーロッパは9.8%の成長率により結果においてポジティブな影響を及ぼした。アメリカの成長率はそれほどでないにしても+3.2%にのぼった。これとは対照的に、アジアにおいては、主に香港市場の落ち込みが原因で5.5%の減少を記録した。

全体的にスイスフラン高が上半期の結果に影響を及ぼしたことは確かである。したがって、平均的な成長率を記録する主要輸出国のうち、一部の国では結果がマイナスの成長率となった。とりわけ、複数の納入業者が見通し不良の困難な時期にある。完成品生産業者も例外ではない。

これまで確認されている動向は下半期も続くことが予想される。2015年全体では、安定した結果が予測されるが、これは状況に著しい変化が起きないことを前提としている。

腕時計の輸出は、時計輸出全体の94%を占め、輸出額は99億スイスフランにのぼった(2014年上半期比で-0.3%)。この6か月で計1350万個の腕時計がスイスから出荷された。これは前年比で44万個(+3.2%)の増加に相当する。

製品

機械式時計とクオーツ時計は、ほぼ同じ割合で増加が見られた。しかし、輸出金額で伸びを記録したのは機械式時計(+1.6%)であり、クオーツは7.6%縮小した。

貴金属製品は、1月から6月まででマイナスの成長率となった(輸出金額で-1.8%)。スチールウォッチとバイメタルウォッチは比較的安定していた。数量の増加を支えたのは、貴金属製品を除くほとんどの素材である。その他の素材(+3.7%)およびその他のメタル(+16,7%)が、この増加において重要な役割を果たしている。

腕時計の主な価格帯ではさまざまな動向が見られたが、唯一著しい成長を見せたのは200スイスフラン(輸出価格)未満の時計で、特に数量において+6.5%の増加を記録した。200~3000スイスフランのカテゴリーは、輸出金額で3.9%、数量では3.2%減少した。3000スイスフランを超える時計については2014年に非常に近い水準(輸出金額で+0.8%)となった。

市場

上半期に減少が見られた市場はごくわずかとはいえ、世界平均に大きな影響を及ぼした。主要15市場のうち減少を記録した3市場はアジアの国である。輸出先の主要マーケットである香港の輸出金額は19.5%減少の著しい落ち込みで、国内販売におけるきわめて不安な状況を反映している。5位に位置する日本は、2014年の力強い好転後、減少(-6.9%)を記録したが、ここ数か月は回復の傾向にある。世界第10位のアラブ首長国連邦もマイナス成長(-8.1%)となったが、やはり回復の兆しを見せている。

アメリカ(+4.2%)は、著しい上昇を記録してはいないものの、過去2年で最も一様な結果を示す市場の一つであり、重要な柱として時計輸出市場を支えている。中国はプラスの成長率(+5.3%)を取り戻したが、これは、既に4月に報告された臨時輸出によりやや過大評価された上昇であると言える。ヨーロッパはきわめて力強い成長を見せ、特にイタリアで+14.2%、フランスで+8.3%、イギリスで+28.5%、スペインで+8.0%を記録した。ヨーロッパ第6位のドイツは同じペースには乗らなかったものの、プラスの成長率(+1.4%)を取り戻した。アジア地域でも、多くの市場において輸出金額が著しい伸びを見せている。

July 21, 2015