2017年のスイス時計輸出

前倒しに回復し成長を記録

スイスにおける時計輸出の状況は、2017年、着実に改善されました。2年のマイナス成長と新たな最低水準を記録しましたが、その後、需要が徐々に回復してきました。販売面から見ると、在庫レベルが以前に比べて適切なレベルになったという判断が、回復を後押ししました。多くの市場において、このように再び成長への傾向を回復してきましたが、まだ一部の市場ではマイナスを記録しています。

結局、スイス時計輸出は200億スイスフランを超えませんでした。輸出の最終的な数字は、199億スイスフランで、2016年に比べて2.7%の増加を示しました。上半期(+0.3%)において、一定の回復傾向が安定化し、下半期においては大幅な成長(+4.9%)を記録しました。

前年における予想に対して、数か月前倒しで業績の回復が確認され、このように業界の今後の成長への活発な活動が見られます。コミュニケーションと販売面でのデジタル化の推進、また"Millennial Generation"(ミレニアル世代)により導かれる消費形態が、2018年度の第一の傾向を形成するでしょう。このような状況を背景にして、スイス時計輸出は、2017年と同等の増加を記録すると予想されています。

製品

腕時計の輸出が、全体的な傾向を決定付けました。その輸出高は、2016年に比べて2.9%の増加にあたる188億スイスフランでした。輸出を数量でみれば、減少し続けています。輸出された時計の数は2430万本、110万本の減少(-4.3%)を記録しました。これは、2009年の不況以来最低の水準です。

数量の減少は、7.4%減少したクオーツウォッチの影響を受けています。それとは対照的に、機械式時計は、金額においても(+4.6%)、数量においても(+3.9%)増加を記録しました。

このようなばらばらの傾向は、主要な価格帯別の統計でも観察されています。200スイスフラン未満(輸出価格)の製品は、数量的に8.5%、金額的に11.6%の減少を記録しましたが、その他の価格帯の製品は、金額にして3%から5%の増加傾向にあります。

輸出における金額上での成長は主にスティールウォッチにより支えられ、数量的には輸出の過半数をしめています。貴金属やバイメタルの時計は、緩やかな成長を記録しました。量的な減少は、主なカテゴリーとして、「その他の素材」と「その他の金属 」の影響です。

市場

輸出売り上げの半分はアジア諸国向け(+4.8%)で、2017年は特に活発な下半期のおかげで成長を達成しました。ヨーロッパ(+2.6%)は、より控えめの成長あるいはわずかに停滞ぎみでしたが、しかしながら、回復の重要な役割を担っています。米国はまったく逆の動向を記録し、アメリカ大陸全体(-2.7%)を減少に導きました。

極東のほとんどの市場は、2017年に増加しましたが、中東市場は、より困難な状況に直面しています。春以降回復を示していた香港(+6.0%)が大幅に増加を記録して2017年を終えました。中国(+18.8%)は、最も早く回復の傾向をしめし、全体市場の中でも最も大きな成長を記録しました。日本は、非常に良好だった第4四半期にもかかわらず、全体では緩やかな減少傾向(-2.6%)に終わりました。シンガポール(+8.5%)、韓国(+5.6%)は活発な成長を示しましたが、中東、アラブ首長国連邦(-3.5%)とサウジアラビア(-6.4%)の傾向は、わずかに回復してはいるもののマイナス傾向のままでした。

ヨーロッパでは、イギリス(+7.0%)は、成長が下半期に大幅に鈍化を見せましたが、年間を通じて成長を記録しています。その他の主な市場は、安定傾向か、わずかの減少を示しています。

結局のところあまり良くないニュースは、米国(-4.4%)市場の傾向で、3年連続で減少を記録しました。良好な経済状況にもかかわらず、米国市場は、少なくとも従来の販売チャンネルを通じては、高級品にたいする需要は戻ってきていません。

January 30, 2018