2019年前期のスイス時計輸出結果

金額は予想を上回る増加、本数は大幅に減少

2018年後半に始まった成長の鈍化と高い比較ベースから、2019年初頭の輸出額は横ばいになることが予想されましたが、最終的には比較的好調な結果で上半期を終了しました。輸出額増加の一部が、ブレグジット関連の予測あるいは中国での希少品展示といった特定の効果によることは確かですが、全体的には引き続きプラス成長で、業界全体にとっては期待できる1年となる見込みです。しかしながら、細かく見てみると、市場、価格帯、主要輸出国によって、時に大幅な格差が見られ、特に本数は著しい減少傾向を示しています。

今年上半期の時計輸出は107億スイスフラン相当に達し、1.4%の成長率を記録しました。第1四半期は+2.9%でしたが、第2四半期は6月の激しい落ち込みの影響で停滞しました。

時計産業は引き続き、競争が強いる複雑な環境と絶え間なく変化する消費パターンに適宜に対応していかねばなりません。さらに、商業的、政治的、経済的状況をみると、今後は慎重な姿勢が必要になってくることが予想されます。こうした要因の影響があるとはいえ、2019年の成長率はプラスが維持される見込みで、第1指標によれば2020年もその傾向が続くことが予想されます。


製品

腕時計は輸出総額の94%を占め、100億スイスフランに達しました。2018年上半期比で1.3%の増加となります。ところが、数量をみるとその傾向は著しく異なり、昨年夏に始まった低下傾向が2019年前半にさらに悪化して、半年で14.1%、つまり160万本あまり減少するという結果になりました。

機械式時計は輸出が売上高の83%を占め、輸出総額の上昇に貢献しました。逆に、クォーツ時計の本数は後退し、2018年上半期と比較して17.5%減少しました。

今年前半で唯一増加を見せたのは、3,000スイスフラン(輸出価格)を超える腕時計で、6.0%増の輸出額を記録しました。この価格を下回る製品の輸出金額は全体的に15.5%減となりました。特に、全体の輸出本数減少の85%を占める200スイスフラン以下の腕時計は、数量が20.2%減という結果が出ています。

貴金属およびバイメタルを使用した腕時計が輸出総額に貢献した半面、ステンレス・スチール製品は後退し、本数から見ると、主要素材グループ(スチール、その他の素材、その他の金属)が著しい減少を記録しました。


市場

アジア市場がスイス時計輸出全体に占める割合はやや上昇しています。売上は57億スイスフラン以上、輸出総額の54%にのぼり、2018年上半期と比較して2.2%の増加を記録しました。一方、欧州市場(-0.6%)への輸出額は32億スイスフラン、売上高の30%を占め、良好なイギリス市場のおかげでほぼバランスを保ちました。アメリカ市場(+4.6%)は米国が勢いを見せ、半年の輸出金額は15億スイスフラン、相対的市場シェア14%で優れた業績を記録しました。

主要アジア市場では、地域による差が見られました。減速傾向にあった香港は、特に6月の大幅な減少でマイナス成長を記録しました(-6.6%)。サウジアラビア(-13.0%)とタイ(-26.4%)も大幅に後退する結果となりました。著しい成長を見せる市場では、中国(+13.5%)、日本(+21.8%)とシンガポール(+12.8%)が引き続き優勢です。一方で、韓国(+0.9%)は、2018年に匹敵する水準にとどまっています。

英国は、ブレグジット関連の予測から大幅な成長(+26.3%)を記録し、単独で第1四半期の欧州市場の安定化に貢献しました。これとは対照的に、他の主要欧州市場は、ドイツ(-2.0%)、フランス(-5.7%)、イタリア(-8.2%)、スペイン(-2.4%)といずれもマイナス成長を記録しています。

米国は引き続き順調な上昇を見せ、スイス時計産業の主な成長源となりました。

July 18, 2019