2025年のスイス時計輸出状況

小幅な落ち込みと不透明な見通し

スイス時計産業は、強まる不確実性とより厳しい市場環境の中で2025年を終えました。米国の通商政策は、当産業の主な輸出先である同国市場への輸出に大きな打撃を及ぼし、近年続いていた堅調な成長に終止符を打ちました。一方、中国市場は、香港特別行政区も含め、2年連続で大幅な落ち込みを記録しました。その結果、中国向け輸出は2年間で3分の1以上減少しました。同時に、金価格とスイスフランが過去最高水準に達し、とりわけ海外市場においてスイス時計の価格を高騰させました。

スイスの時計輸出は2年連続で減少し(2024年比で-1.7%)、輸出総額は256億スイスフランとなりました。高価格帯では引き続き堅調な需要が見られたものの、大半の製品では減少が確認されました。

市場の減速を示すものとして、スイス時計産業経営者団体が9月末時点で行った年次調査によると、業界の雇用者数は1.3%減少しています。

2026年は、依然として不透明感が強い状況の中で、良くても横ばいが続く見通しです。米国では、12月の好成績(前年比で+19.2%)から、同市場での良好な見通しが期待されるものの、米政権の政策決定に対する懸念が払拭されるわけではありません。中国市場については、回復が早期に実現する見通しは立っていません。

世界の地政学情勢により不安定な消費者心理が続く複雑な状況の中で、スイス国内の生産、とりわけバリューチェーン上流は引き続き圧力を受けると予想されます。

製品別動向
2025年の時計輸出は腕時計が大部分を占めました。輸出総額は244億スイスフランで、2024年比で1.7%減少を記録しました。輸出本数は4.8%(74万本)減の総数1,460万本となりました。このように、数量ベースは引き続き減少傾向でした。

輸出価格が3,000スイスフランを超える腕時計は1.9%後退し、全体の輸出額を押し下げる要因となりました。一方、500~3,000スイスフランの価格帯は安定状態を維持しました。しかし、この価格帯を下回るカテゴリーでは4.5%の減少と、より顕著な落ち込みを記録しました。

素材別では、スチール(金額ベースで-2.8%)、その他の金属(-12.7%)、貴金属(-0.3%)が総輸出額を押し下げ、バイメタルウォッチの伸び(+2.4 %)もこの傾向を相殺することはできませんでした。数量面では、スチールウォッチが3.8%増加したものの、「その他の素材」カテゴリーにおける大幅な落ち込み(-22.0%)を埋め合わせるには至りませんでした。

市場別動向
2025年の時計輸出は、アメリカ市場で安定(+0.3%)、欧州市場でもほぼ横ばい(-0.3%)となった一方、アジア市場では日本、中国、香港の落ち込みを受けて減少しました(-3.8%)。

2025年、対米輸出はスイス時計輸出全体の17%を占め、最大の輸出先としての地位を固めました。しかし、関税をめぐる度重なる発表の影響で取引は大きな混乱に見舞われました。通年では増加分によって減少分が相殺され、結果として年間変動率は-0.5%となりました。

アジアは、市場動向において対照的な展開を見せ、日本(-5.8%)、中国(-12.1%)、香港(-6.5%)など一部で著しい減少を記録し、アラブ首長国連邦(+3.5%)、韓国(+2.4%)、サウジアラビア(+8.9%)では成長が確認されました。シンガポール(+0.7%)と台湾(-0.6%)はほぼ横ばいで推移しました。

欧州では減少幅は比較的限られていました(-0.3%)。フランスの伸び(+1.3%)はドイツ市場の後退(-6.8%)を補うには不十分で、英国(+0.1%)とイタリア(-0.5%)は2024年の水準に近い状態を維持しました。

January 29, 2026